建築の本をつくるしごと

建築について考える

建築について考える

>レビュー

>富士南麓の家

山田誠一(山田誠一建築設計事務所)

渡辺隆(渡辺隆建築設計事務所)

富士南麓の家-1 富士南麓の家-2 富士南麓の家-3 富士南麓の家-4 富士南麓の家-5 富士南麓の家-6 富士南麓の家-7
富士山の麓の旺盛な樹木に囲まれ「富士南麓の家」は、静かに佇んでいた。

外部側(モルタル掻き落とし)・内部側(砂漆喰)ともに左官仕上げに覆われた壁は、大自然になじみながらも重量感をもって対峙しており、とても力強い。
そう、山田誠一さんの最新作「富士南麓の家」(2018)はいつになく力強いのだ。


山田さんの手がけた住宅建築の中でいえば、初期の「富里の家」(2013)、「加茂の家」(2017)を見る機会に恵まれ、じっくりとその空間に身を置かせてもらったことがある。

いずれの住宅建築も、素材を厳選して扱い、丁寧にディテールを積み上げ、人の営みと光と影の関係について深く思考された素晴らしいものであった。
そして、それらを浮かび上がらせていたのは、「作品」となることをあえて避けるように選択されていた標準的な住宅の形式であったように思う。

しかし、この「富士南麓の家」では、均等な柱スパンによる単純な矩形(1階はトイレや浴室や寝室、2階はLDKとテラス)の中心に螺旋階段を配置し、長辺の二枚の外壁の開口部は抜け良く同じ位置とするなど図式的で、住宅の間取りというような概念はどちらかというと薄い。

それゆえに、壁から天井まで塗り込められた内部空間は、洞窟のように原初的であり、力強く、土間や壁に落ちる開口部からの光は、いつにもまして美しかった。









渡辺隆

渡辺隆(渡辺隆建築設計事務所)

1973年 静岡県磐田市生まれ
1996年 金沢工業大学工学部建築学科卒業
1996~2007年  竹下一級建築士事務所
2008年  渡辺隆建築設計事務所 設立

受賞
イワタノイエ|第26回INAXデザインコンテスト 部門賞
イワタノイエ|第37回中部建築賞 入選
ナオ・ハウス|第43回中部建築賞 入選
ナオ・ハウス|第01回JA東海住宅建築賞 奨励賞
豊岡中央交流センター|第9回静岡県景観賞 最優秀賞
磐田卓球場ラリーナ|第11回静岡県景観賞 奨励賞
山田誠一

山田誠一(建築家・山田誠一建築設計事務所)

1978年 静岡県生まれ
2011年 山田誠一建築設計事務所 設立
2018年 静岡理工科大学 工学部 建築学科 非常勤講師

受賞
富里の家|第2回 JIA東海住宅建築賞 奨励賞
実相寺 毘沙門堂|第26回 AACA賞 奨励賞
加茂の家|JIA東海住宅建築賞2017 奨励賞
実相寺 毘沙門堂|第49回 中部建築賞 入賞
富士南麓の家
所在地 : 静岡県富士宮市
階数 : 地上2階 木造
敷地面積 : 298.05㎡
建築面積 : 48.60㎡
1階床面積 : 44.55㎡
2階床面積 : 40.50㎡
建蔽率16.38% (許容 60%)
容積率28.66% (許容 200%)
軒高 : 6,200mm
建物最高高さ : 7,000mm
構造 : 高橋俊也構造建築研究所