建築の本をつくるしごと

お知らせ/制作中ブログ
7月21日発売予定の新刊『デザインサーヴェイ図集』のご案内です。

デザインサーヴェイ図集
伊藤杏里 編著 中山繁信・最勝寺靖彦・笹原克・井上洋司 共著
A4判・無線クータPUR製本・160p・本文2色刷
デザイン 相馬敬徳(Rafters)
図版調整 小林則雄(ノアーズグラフィック)

(概要)
建築史家・伊藤ていじが70年代に学生らと手がけた、伝説の集落実測調査がここに再び甦る!
地域に飛び込んで観測し、実測調査し、図面により視覚化する集落実測調査「デザインサーヴェイ」。1970年代に日本中の大学研究室で流行し、いまや伝説として語り継がれています。調査には建築的側面だけではなく、生活や習慣、歴史や風土など、人類文化的な貴重な情報が詰まっています。本書では伊藤ていじが主導した調査図面群を現代に甦らせるとともに、研究室OBやご子息らによる貴重な証言から伊藤の足跡を辿ります。




(はしがき)
 まずは本書の図面を見ていただきたい。読者の皆さんは、その美しさと迫力に思わず引き込まれるのではないだろうか。
 ここに集められた倉敷(岡山県倉敷市)と海野宿(長野県東御市)の図面群は、1970年代に工学院大学建築学科伊藤ていじ研究室が手がけたデザインサーヴェイのハイライトともいうべきものである。当時は高度経済成長とともに伝統的な民家や町並の消滅が急速に進みつつあり、デザインサーヴェイは、単体としての建築だけでなく町並全体を調査・図面化することで、それらの保存・継承に向けた大きなきっかけとなることがめざされた。
 伊藤ていじの指揮のもと、学生たちが描いたこれらの図面群には、町並に暮らし生きる人々の理解と協力、その信頼を得るための学生たちの努力、そして実測から完成図に至るまでの手の感触に込められたエネルギーのすべてが反映されている。時代背景が異なり、デジタル化された実測や表現が多様に展開する現在においても、その魅力は色あせていないと思う。
 本書は、当時伊藤ていじ研究室の助手であった中山繁信の発案により、読者の方々にデザインサーヴェイの美しい成果を味わっていただくだけでなく、デザインサーヴェイのプロセスや工夫、またその実現を可能にした伊藤ていじの人となりや教えを紹介することを目的としてまとめられた。
 テキスト篇の1章ではデザインサーヴェイの実際を、2章では伊藤ていじの多彩な活動を紹介し、3章では家族から見た伊藤ていじの人物像を披露している。
 執筆には、デザインサーヴェイに携わったメンバーとして、中山のほか、当時学生であった最勝寺靖彦、笹原克、井上洋司ら伊藤研究室OBの面々が加わり、伊藤ていじを父にもつ伊藤杏里が編著者として全体を取りまとめた。読者の皆さんが、それぞれの視点から本書を楽しんでいただければ幸いである。

<< 戻る